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2007-01-06最強の図書館Webサイト!? [トロント報告]

日頃から日記をつける習慣がないからか,研修の整理がなかなか進まない...

それはさておき,今日はトロント大学図書館が誇る,最強の図書館Webサイトを紹介しましょう。


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トロント大学図書館は,Webサイト構築にフリーCMSソフトウェアの一つであるPLONEを採用している。PLONEの拡張性の高さを最大限利用し,インターフェースの変更や外部システムとの連携など,フルカスタマイズを施している(上図左: UTLトップページ http://main.lib.utoronto.ca/)。

しかしこのWebサイトの最大の特徴は,PLONEではない。EIRと呼ばれる,電子ジャーナル,電子ブック,文献データベースなど,あらゆる電子リソース(の二次情報)を一元管理するデータベースが根幹で動いている。PLONEは,単にEIRをWeb上で表現するためのユーザインターフェースとして利用されている(上図右: 電子リソース検索)。EIRに登録されているコンテンツは,次のとおり。

  • 文献データベース
  • 事典・辞書・ハンドブック・・・
  • 電子ジャーナル(個別タイトル)
  • 電子ジャーナルのプラットフォーム
  • 電子ブック(個別タイトル)
  • 電子ブックのプラットフォーム
  • 電子新聞
  • 電子メディア(画像DBなど)
  • PDA/Handheldで利用できるコンテンツ(医学系中心)
  • 分野別のリサーチガイド

そして,EIRによるコンテンツ管理とユーザインターフェースでの利用は,概念図にすると次のような感じ(相当複雑なのでデフォルメしています)。

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まずはEIR登録部分。電子ジャーナルは自館作成した電子リソース管理システム(SFXと連携),電子ブックはFull MARC Recordsを利用するなど,作業が半自動化されている。そして正確性を保証するため,疑わしいレコードは目視によって調整している。しかし自館作成の電子リソース管理システムは,ナレッジベースの最新性保持に多大な労力がかかるため,2007年1月からVerde(ExLibris社の電子リソース管理システム)に切り替え予定である。

また,Ulrichsweb利用による書誌データの補完は,EIRへのマージによって分野による電子ジャーナル検索を可能とするなど,効果的に活用されている。

次にインターフェース部分。EIRのデータは,電子リソース検索画面に止まらず,様々なところで利用されている。例えば,

  • 電子リソース検索
  • 分野別リソース検索/統合検索
  • my.library(利用者自身のリソースリスト)
  • OPACへのマージ

注目すべきは分野別の統合検索機能だ。分野を選択して(下図左),表示された検索窓にキーワードを入れて検索すると(下図中),その分野でよく使われる文献データベースに限定した検索が行える(下図右)。統合検索(Federated Search)は,「ライセンス契約のデータベースも含めて何でも一度に検索できる」システムであるが,分野に応じた検索対象を提供するアイディアは斬新だ。

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my.libraryの機能も面白い。何十万もの電子コンテンツやOPACで探した資料は,選択して自分用に用意されたスペースに保存可能だ(下図)。

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このように,トロント大学図書館のWebサイトは設計思想に優れ,多くの機能を実現しているが,同時にいくつかの課題があるように感じた。

  • 画面数の多さ
  • レスポンスの悪さ

画面数の多さは,画面展開をわかりにくくし,サイトの全体像を把握しづらくしている。随所にガイドを表示するなど工夫が見られるものの,各画面内に情報量が多いため,それに気がつくまでに時間がかかる。トップページから最下層のページに至るまでの中間階層ページを減らし,代わりにヘルプを充実させるなどの工夫によって,改善できるかもしれない。

レスポンスの悪さは,PLONEの問題,各画面での処理数の多さ(機能の盛り込みすぎ),サーバスペックの問題などが考えられるが,スムーズなアクセスを提供することは,Web上で利用者からの信頼を損ねないために重要であろう。


もちろんこれらの課題について,UTLスタッフは十分承知している。しかしWebサイト構築には現場の多くの意見を反映ささせるため,多機能になってしまい,利用者にとっては過大な情報量やレスポンスの悪さとなってしまっている。大勢のスタッフを納得させながら,よりよいものを作り上げるには,多くの時間と忍耐を要するのだ。

しかし,これは解決不可能ではない。確かなユーザ理解に基づいた確かな原則を持ち,組織の利益やスタッフの意見は,この原則から外れないように実現するのである。私たちはこうした意味で,多くのユーザを獲得してきたGoogleを見習うべきだろう。

brainburstbrainburst2007/01/07 11:01すごいねぇコレ。
我が社とかはちょっとした文書のアーカイブ作るだけで
アホみたいにレスポンス悪いと言うか、
「金ついたんで作るもの作りました。出来は斟酌せず」
みたいなガラクタだし。

mecharappamecharappa2007/01/08 13:07ここにはとても書ききれないほど,裏で複雑な仕掛けが動いていて,知れば知るほど驚きの連続。EIRのようなナレッジベースを使った図書館Webサイトは,これからの主流になるかもしれない。しかしメンテナンスは大変らしい... ExLibrisのPrimoはどういう製品なのだろう?